REPORT

それぞれのアーティスト・イン・レジデンス


 

お二人にとって、初めてのアーティスト・イン・レジデンス。そして、取材した土地のイメージをモチーフに、具象表現をする作品づくりも普段はあまりしないことだそうです。
「軽井沢や浅間山を表現するのに、ここまでやったらベタかな?どうかな?と自分の中で駆け引きをしながら作品づくりをすすめていました。また、今回だからこそ表現できることはないか、という部分も模索しました。そのような作品作りは新鮮で、楽しめたと思います」と近松さん。
大舩さんは「僕はあえてベタにいきました。例えば、浅間山の形を忠実に再現してみたり、蕎麦の花畑をわりとストレートに表現してみたり。普段ならしないことですが、このような機会なので振り切ってみました。作品を見た人が軽井沢の風景と照らし合わせて何か気づきを得てくれたらうれしいなと思います」と明かしてくれました。

普段とは違う環境で、持参する道具にも限界があります。お二人は、ミニマムな道具や機材で、感覚を研ぎ澄まして作業されているように見えました。持参した銅版が足りなくなった近松さんは、一つの版に別の作品を彫られていました。
「工夫することでなんとかなるし、作品をつくることの本質は変わらない」と言い切る言葉が印象的です。

 

 

 

往復車で来られた上に、取材でも自ら運転されていた大舩さん。その疲れが作業に影響が無かったかを聞くと「大丈夫でしたよ。軽井沢にいて自分が気持ちいい状態だったので、限られた設備の中でもストレスを感じることは無かったです」。その土地や空気がアーティストに与える影響は計り知れないもののようです。

 

 

最後に、お二人が滞在した「油や」内のお気に入りのスポットを教えてくれました。「油やの中にある“追分喫茶室”です。営業日ではなかったため、中はしんと暗がりで、窓の格子から外の光と緑がちらりと見えるコントラストが素敵でした。

この格子の様なイメージが作品の中にも登場します」と大舩さん。

 


近松さんは「油やにあった小さな泉です。水草の中をメダカが泳ぐこの泉は湧き水で、どんなに寒い冬でも凍らないのだとか。静かで美しい姿が今も心に浮かびます」と語ってくれました。
この特別な地で得た感覚は、お二人の作品にどのように影響を及ぼすのでしょうか。楽しみにして作品の完成を待ちたいと思います。

 

 

撮影/才門香織
文/今中有紀

 

 

「油やプロジェクト アーティストインレジデンス2018」
期間:2018年9月3日(月)~9月7日(金)(大舩氏は~5日(水)まで)
アーティスト:近松素子、大舩光洋
主催:油やプロジェクト
共催:小旦那プロジェクト、陽風館(松岡温彦氏)
協力:808
レジデンス:油やSTAY

 

左から:近松氏、大舩氏、斎藤尚宏氏、ナカムラジン氏、斎藤祐子氏

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